今回は管路の損失について取り上げてみます。このブログでも損失については取り上げています。「多孔板の圧力損失」、「金網の圧力損失」や「バルブの圧力損失」です。で、今回ですが 管路中に設置された拡大・縮小における圧力損失について計算してみます。拡大管とか縮小管とか呼ばれますし、ディフューザー Diffuser や レデューサー Reducer とも呼ばれますね。なんですが、テーパー部の勾配を急にするのか、それとも緩くするのかで圧力損失が違って来ますね。で、何故 圧力損失が違うのかと言えば 流れの剥離が起こったりする為です。当然ですが流れの剥離とかは無い方が良い訳で、その為にはテーパー部の角度はこれくらい!と言う目安が有りますね。まあ、レイアウト上の問題でどうしても急角度になるのであれば、その状態での圧力損失を知りたいですね。
実務においても何回か検討した事が有りますね。例えば、管路中に多管式熱交換器を設置しますが、入口と出口はテーパー管とします。まあ、短くすれば材料費も少なくて済みますし、フランジ面間距離が短ければ何かと便利です。ですが、そうすると流れが剥離して流れが遅い部分が発生したりします。これは長期間運転において問題になりますね、異物の発生源になったりして・・・。
管路の損失 Loss in Piping
管路における損失と言えば、代表的な配管要素として バルブ・エルボ・ティーなどでしょうか。この辺りについては化工関連の書籍には大抵載ってますね。ザックリと計算するのであれば十分ですが、より詳細にみるのであれば 例えば「拡大管・縮小管」が有ります。今回はそれらについて取り上げるんですが、現象的には「流路面積の変化」ですね。流路がギューッと絞られたり、逆にブワーッと広がったりとかですね。
✔ 急縮小・急拡大の場合 Sudden Constricted, Dilated
① 急縮小 Sudden Constricted
ベッセルとかの底部には抜き出しノズルが有りますが これは 出口 Outlet です。太い容器断面から 細いノズル断面へと流れが絞られる事で損失が発生します。これは流路断面積が狭くなる場合の一例と捉える事が出来ます。と言う事で、このような急縮小における計算式は以下のとおりです。式①は損失ヘッド式で、出口流速 v2 と縮流係数 Cc により計算出来ます。若しくは、赤の囲み部分を 損失係数 ζ に置き換えれば 式②となります。また、損失ヘッド [m] は圧力損失と式③の関係にあります。で、縮流係数と損失係数は 下流・上流の断面積比 A2/A1 によって整理されますね。 とは言え、数式化されていないと不便なんで多項式近似してみました。
✔ 緩やかに縮小・拡大の場合 Reducer , Diffuser
① 緩やかに縮小 Reducer
計算例 Examples
✔ 急縮小とレデューサー Sudden Constricted , Reducer
✔ 急拡大とディフューザー Sudden Dilated , Diffuser
✔ 比較 Compare
まとめ Wrap-Up
冒頭でも少し触れましたけど、実務では ポリマー配管の途中に多管式熱交換器を設置した事があって、その際に入口はディフューザーで出口はレデューサーにしましたね。で、その部分の長さというか角度ですが、あまり急角度にならないようにしましたね。実際には、CFD を使って速度分布とかを求めたりしましたね。まあ、ポリマー溶液なんで高粘度ですし、層流になってるんでだいたいピストンフロー的にグイーっと押し出されて行きますね。それでも、壁面付近の流速とかせん断速度がどれくらいになっているかを検証しておきたかったんですね。 まあ、圧力損失自体は 多管式熱交換器の伝熱管の方がよっぽど大きいんで、あまり気にしませんでしたけど。
参考書籍・文献 References
- 「演習 水力学」 森北出版 1981年刊
- 「管路・ダクトの流体抵抗」 日本機械学会編 1979年刊
- 「プラント配管ポケットブック 第6版」日刊工業新聞社 2002年刊
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