また少し間が空きましたが、今回からは撹拌操作について何回かご紹介します。気泡がボコボコしてるからといって中身をかき混ぜ無くても良いか?と言うとそうでは無く、必ずかき混ぜます。撹拌の目的としては、液の均一化 (濃度・温度)、槽壁面からの伝熱の促進、蒸発の促進などが有るかと思いますが、今回取り上げている重合反応器などは 「完全混合槽型」と謳っているくらいですので、それなりに混ぜ合わせます。
ただまあ、ここでの「完全混合状態」はあくまでも理想的な状態なので、現実の反応器がそうなっている訳では有りません。槽内に入った原料がその瞬間に槽内の液と混ざり合う状態が「完全混合状態」とすれば、液の移動速度は無限大でなければ有りませんが現実的には不可能ですね。
撹拌機付き反応器 構成
まずは下図をご参照ください。撹拌機付き反応器はだいたいこの様な構成となっています。撹拌翼 Impeller を設置して、液中で回転させます。この例では Impeller 型式は 傾斜パドルとしていますが、下図の場合 時計回りに回転させると下向きの流れが発生します。また、Impeller だけだとどちらかと言えば液が円周方向にグルグル回るだけの所謂 「供回り」状態が優勢となりあまり好ましくは無いので、邪魔板 Baffle を設置して上下方向の流れに変換します。下図では平板タイプを4個 等配置しています。
この辺りについては、ネットにも撹拌機メーカーさんのサイトなどが多数有るので詳細はそちらをご参照ください。
撹拌翼の種類
撹拌機で重要なのは何と言っても Impeller型式の選定だと思いますが、化工関係や撹拌関連の書籍にもあるように液粘度によって使用される型式がだいたい決まっています。
上図の傾斜パドルは低粘度液に用いられる典型的な型式でしょうか。一方、重合反応器のような高粘度液については アンカー Anchor や ダブルヘリカルリボン Double Helical Ribbon などが適用されます。Impeller 仕様の設計もいくつかしましたが、低粘度用では傾斜パドルやファウドラー、高粘度用ではアンカー、ダブルヘリカル、ドラフトチューブ付きスクリューぐらいでしょうか。液分散や微細化用途ではディスクターピンとかを使うようですが、扱ったことは無いですね。
と言う事で、次回は 上記 Impeller の性能について少し計算結果をご紹介します。
参考文献
化学工学便覧 第6版 第7章 撹拌
コメント
コメントを投稿