前回は高粘度用インペラ ダブルヘリカルリボン DHR の仕様についてご紹介しました。今回はDHRの動力特性などを計算した結果をご紹介します。
DHR 動力推算式はいくつか有りますが、ここでは名工大グループによるものを以下に示します。
動力数と撹拌レイノルズ数との積である NpRe 値を求める形となっており、パドル、アンカー そして DHR に適用する事が可能です。ただし、インペラタイプによってパラメータ値を求める式が異なります。文献の表題に「層流域」とあるように、層流域でのみ適用可能です。撹拌レイノルズ数に対して動力数をプロットした動力曲線で言うと、左側の直線部分でのみ適用可能となります。この領域では Np と Re の積は一定となります。無理やり、乱流域の動力数を求めると、極端に小さな値となって結果 撹拌動力が非常に小さく見積もられます。まあ、DHR を撹拌レイノルズ数の大きな乱流域で使用する事自体に問題が有るわけなんですが・・・。
動力計算結果
これまでに決定した反応器・インペラの仕様値を適用します。DHR に限らずクリアランスの狭いインペラでは回転数はそれほどには上げません。この例では最高で 30 [rpm] くらいでしょうか。 液粘度がそれほど高くは無い場合には 60 [rpm] というのも有るかと思いますが、少し怖いですね。で、今回の場合ですが 30[rpm] ですと 動力 180 [kW] 程度で、Pv値は 11 [kW/m3] となります。こうなると設置する電動機定格は 250 [kW] が必要かと。
で、ずっと最高回転数でぶん回す事は無くて、6割程度の回転数が常用回転数でしょうか。と言う事で 18[rpm] での動力は 64 [kW] 程度、Pv値は 3.9 [kW/m3] となります。
動力曲線
で、動力曲線を描いてみると以下のようになりました。層流域では 斜め 45度の直線となります。動力数と撹拌レイノルズ数との積は 359 [ - ] となりました。
で、ご覧のとおり 乱流域になってもずーっと下がりっぱなしと言う結果となります。 傾斜パドルでは乱流域 (100,000 < Re) では 動力数は 0.57 でほぼ一定となりましたので、比較すると非常に小さいですね。
という事で今回はここまでとし、次回は動力特性についてもう少し詳細に触れたいと思います。
参考文献
「2次元数値解析に基づく層流域における撹拌所要動力推算式の誘導」亀井、平岡、加藤ら 化学工学論文集 第20巻 第5号 1994年
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