化学業界の話題 2023年4月16日 Global Top 50 2021

 このブログを始めて 1年となります。最初は就職活動の合間に何かやろうかなと思い、タダで利用可能な Google の Blogger を始めてみた訳ですが まあ何のかんので1年ほど続いた感じですね。まあ、ほとんど閲覧者も居ないので単なる自己満足的なモノではあるんですけども・・・。

化工計算ばっかりでもネタ切れと言うか面白くもないので、少し視野を広げてみようかなと。と言っても、やっぱり化学業界の話題になるんですね。これまた、ネットには沢山の同様なブログやらサイトが有るとは思うんですけど、まあそれはそれで。

で、今回取り上げるのは American Chemical Society の 週刊ニュースサイト C&EN Chemical & Engineering News が毎年夏に発表している Global Top 50 2021 化学企業 トップ50 2021年版です。内容は 世界の化学企業 売上番付ですね。化学企業の売上を多い方からずらーっと並べたものですね。まあ、欧米の企業が多いんですが 日本や韓国の企業がどの程度ランクインしているのか気になりますね。





※ アメリカ化学会 American Chemical Society 公式ホームページ https://www.acs.org/
ケミカル&エンジニアリング ニュース Chemical & Engineering News 公式ホームページ https://cen.acs.org/


 Global Top 50 売上高

早速見ていきましょう。まずは売上高についてです。トップ50のランキングは この売上高の大小に基づいています。なので、棒グラフにしてみると下図の様にキレイに並びますね。
で、第1位ですが やはり 化学業界の巨人 BASF です。ずーっとBASF ですよね。一時期 Dow Chemical と Dupont が合併した際には1位になるかと思われましたが、それでも1位を堅持したと記憶しています (確か)。

売上高はドルベースですが、2021年平均の為替レートで日本円に換算すると、BASFの売上高は実に 10.2兆円 となります。グラフにすると図抜けてますよね。
で、トップ10を見ると アジア勢では 2位に 中国 Sinopec 、5位に 台湾 Formosa Plastics 、7位に 中国 PetroChina そして 9位に 韓国 LG Chem がランクインしています。 日本勢はわずかに及ばず 11位に Mitsubishi Chemical Group が入っています。2020年版では 8位でしたが 順位を下げた感じですね。

トップ10以降では日本勢・韓国勢は以下の企業がランクインしています。日本の有名どころの企業はだいたい入ってますね。韓国ではロッテケミカルとハンファがランクインしています。

11位 三菱ケミカル
19位 住友化学
20位 信越化学工業
22位 東レ
28位 ロッテケミカル
29位 三井化学
38位 旭化成
39位 ハンファソリューションズ





Global Top 50 利益高

まあ、売上高も重要ですが 「どれくらい儲けているか」も重要ですね。元データには Profit 利益高についても記載されているので、ランキングはそのままで利益高を棒グラフにしてみます。

グラフの横軸は売上高グラフと比較して桁が1個小さくなっています。10兆円が1兆円になっています。まあ、ざっくりと見ると売上高が大きいと利益も大きい傾向は有るように思えますが、例えば 10位の エクソンモービルは 利益高はBASFよりも大きいですね。
また、いくつか利益高が無い企業が有りますが、全く儲かっていないと言う訳では無くて元データに記載が有りませんね。まあ、公開していないとか事情があるんでしょうか。





Global Top 50 利益率


で、利益高に関連して利益率も棒グラフにしてみました。売上高に対する利益高の比率ですね。利益率が高いと言うことは、効率よく稼いでいると言えるのかなと。それで、利益率が30%を超えている企業ですが 3つ有ります。信越化学工業は強いですね、やはりシリコンウェーハとかをやっているからでしょうか。塩ビ樹脂もアメリカとかで積極的に展開していますね。Nutrien はカナダの企業で 製品分野は肥料となっています。そして EuroChem も肥料です。肥料と聞くと典型的なコモディティケミカルと言う印象が有りますが。アグリビジネスってのは儲かるとは聞きますが、種苗とか遺伝子組換え作物云々が主流と思ってましたけども。


20位 信越化学工業 利益率 32.6 %  Diversified
36位 Nutrien    利益率 41.6 % Fertilizer 
44位 EuroChem     利益率 33.3 %   Fertilizer




Global Top 50  売上高 vs 利益高

更に 売上高に対して利益高をプロットしてみると下図のようになります。図中の破線は利益率です。上段は 全企業をプロットしています。トップ10企業でも利益率には結構 差異がありますね。下段の方は トップ10以下の企業が分かるように売上高と利益高の値を小さくしています。まあ、こんな感じなんですね。




まとめ

まとめる内容も特には無いんですが、やはり BASF は強いですね。このランキングを見るようになって 7・8年は経つかと思いますが、ずーっと 首位を守っています。韓国に居た際にはコンプレックスの中にBASFの工場が有って、確か海沿いの閑静な場所に社宅も有りましたね(最初に住んだアパートがその近所)。なんで、その界隈では割りと頻繁に現地駐在の欧米の方をお見受けしましたね。日本勢と韓国勢ですが、まあ有名どころはランクインしていますが、売上高では BASF には遠く及ばないですね~。

また、利益率で見ると信越化学工業はこれまたずーっと強いですね。三菱、住友、三井といった旧財閥系って言うんでしょうか、老舗化学企業もいろいろと頑張っているんでしょうが利益率ではそこまででは無いですね。三菱は社名の化学がケミカルになった辺りからライフ・ヘルス分野へ注力するとかの動きがあるようですし、今後は改善されるんでしょうか。住友はサウジのラービグに巨大なコンプレックスを展開して原料を押さえると言う戦略なのかなと。やはり化学企業はモノを作ってナンボなんで、原料の油を持っているところは強いですよね。

とは言っても、もっと売上高の大きな企業ってのはありますよね。ネットでざっとあたって見ますと 化学に近いところでは石油・ガスなどのエネルギー企業である ロイヤル・ダッチ・シェル の 2021年売上高は 272.7 $ Billion (30兆円)ですし、iphone でお馴染みの アップルは 365.8 $Billion (40兆円) となり上には上があるよって事ですね。まあ、それでもスマホとかでは無く化学品や樹脂などの素材を売って 10兆円も売り上げるのは相当に大変ですよね。ハンドリングする原料や製品の量も半端無いでしょうし。もちろん、単独のサイトやプラントでやってる訳では無いんでしょうけども。

このGlobal Top 50 は例年 7月に発表されるんで、ちょこちょこと C&EN のサイトを注視しているとアップされますね。特に ACS の会員でなくても閲覧や PDFファイルのダウンロードは可能ですが、無料会員に登録する必要は有るのかなと。以前は一見さんでも普通に大体の記事は閲覧出来たんですが、今は無料会員でも月に6本までしか閲覧出来ませんね。んでも、まあいろいろと面白い記事も有りますし、なによりシャレオツですねサイト全体が。




参考文献

  1. "2022 July C&EN - Globaltop50 2021 Article.pdf" 


ウェブサイト

  1. アメリカ化学会 American Chemical Society 公式ホームページ https://www.acs.org/
  2. ケミカル&エンジニアリング ニュース Chemical & Engineering News 公式ホームページ https://cen.acs.org/




 


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