今回の投稿では、粉体の空気輸送について取り上げます。粉体工学会の用語辞典には以下のように記載されています。ポリマープラントでは、原料はシャバシャバの液体で、反応工程やその後の分離工程では粘っこい液体ですが、最終製品は固体です。造粒工程のペレタイザーで溶融状態のポリマーを冷却固化させた後 切断してペレット Pellet としますね。んで、造粒工程から空気輸送を使ってサイロまで移送しますね。まあ、ペレットは例えば 短い円筒状ですが大きさは数ミリ程度なんで空気輸送で十分輸送可能ですね。有機物なんで軽いですし。 そんなこんなで 実務でも 何回か計算してみたりしましたね。まあ、新設のプラントでは 貯蔵サイロとか空気輸送までを含めて 粉粒体専門のエンジニアリング企業に発注するのが一般的だと思いますけど。ちょっとした移送能力増強とか改善であれば、チャチャっとやりますね。
管路内を空気またはその他の気体によって固体を輸送する技術のことであり、その装置は通常,空気源(ブロワーまたはコンプレッサー),供給部,管路(パイプ),回収部から構成される。
空気輸送 プロセスフロー
空気輸送にもいくつか種類が有りますが、ここで取り上げるのは 低濃度 高速輸送方式です。それ以外では 高濃度 低速輸送方式も有りますね。
下図は 低濃度 高速輸送方式のプロセスフロー例です。大気をブロワにて吸引しサイレンサーを介して管路に流入させます。一方、粉体はホッパーからロータリバルブを経て同じ管路に投入されます。粉体は空気流に同伴されて管路中を移動して移送先のサイロに到達します。サイロの頂部には固気分離用のサイクロンが有り、粉体はサイロ内に落下します。微細粉体と空気はサイクロンから流出後に下流のバグフィルターに流入します。バグフィルターでは微細粉体が分離され 清浄な空気が大気に排出されます。
低濃度 高速方式の特徴は以下のようになります。
- プロセスが比較的 簡単
- 連続輸送が可能、短距離に適用される
- 固気混合比 1~10 (重量比)
- 圧力損失 50 [kPa / 100m] 、風速 20~30 [m/sec]
- 大抵の粉体に適用可能
- 窒素ガスなど不活性ガス 循環使用も可能
空気輸送 圧力損失 計算式
さて、圧力損失計算式ですが 輸送媒体が空気なんで まずは空気単相の流動による損失が有りますね。更に、それに加えて粉粒体による損失が加算される事になります。以下の4項目の合計となりますね。式③、④、⑤が粉体に起因する損失となります。
- 式② 空気流動による損失
- 式③ 粉体の加速による損失
- 式④ 粉体の摩擦による損失
- 式⑤ 粉体の浮遊及び垂直上昇による損失
計算例
✔ ペレット 輸送流量の影響
以下に計算例を示します。100A の配管で 代表長 3[mm] で密度 1,000[kg/m3] の樹脂ペレットを空気輸送するとします。前述の4つの式で計算します。空気 平均流速は 20[m/sec] としていますが、ペレットの終末速度は 8.6 [m/sec] なので 2.3倍 ですね。
さて、ペレット 輸送流量の影響ですが 輸送流量を増やすと当然ですが圧力損失も増加しています。 ペレットを 時間あたり 2トン 輸送すると、圧力損失は 空気だけの場合の 約3.5倍となります。まあ、普通に考えれば ブロワの動力も 同程度には増加しますね。
✔ 空気流速の影響
✔ パラメータ 粉体 / 空気 速度比 Φ の影響
- 粒体 0.5 ~ 0.6
- 粉体 0.7 ~ 0.95
✔ パラメータ 粉体 摩擦係数 λm の影響
- 粒体 0.008 ~ 0.015
- 粉体 0.002 ~ 0.005
まとめ
参考文献
- 「粉体技術ポケットブック」 工業調査会 1996年
- 「粉体工学叢書 第7巻 粉体層の操作とシミュレーション」 日刊工業新聞社 2009年
- 「図解 粉体装置・機器の基礎」 工業調査会 2005年
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