化学業界の話題 2023年7月30日 Global Top 50 2022

 さて、今回の投稿は久しぶりに化学業界の話題として、"Global Top 50 2022" を取り上げます。ACS アメリカ化学会のホームページで 2022年版が公表されたんですね。なので、早速その内容をご紹介しようかなと。

ランキングですが、第1位はやはり グローバルケミカル業界における絶対エース BASF です。2位は Sinopec、3位は Dow となっています。また、記事内容によるとTop50 企業は 2022年は増収減益となったようですね。要因としては、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー費用高騰、中国ではコロナ禍によるロックダウンの影響などがあったと指摘しています。その一方で、肥料メーカーやリチウムバッテリー関連の企業などは活況を呈しているようです。日本関係の話題としては、新たに Top 50 入りを果たしたのが Resonac Holdings レゾナックホールディングスですが、この企業は 昭和電工と旧日立化成が合併して設立されました。




※ アメリカ化学会 American Chemical Society
  https://www.acs.org/

  ケミカル&エンジニアリング ニュース Chemical & Engineering News
  https://cen.acs.org/


 

2022  Chemical Sales

早速見ていきましょう。まずは、各企業の売上高ですね。やはり、BASF は飛び抜けて売上が多いですね。韓国勢では9位にLG化学、28位にロッテケミカルがランクインしていますね。日本勢では14位に三菱ケミカル、20位に信越化学、30位に住友化学、31位に東レ、33位に三井化学、そして 45位に旭化成が入っていますね。で、42位が Resonac となっています。





で、2021年からの売上 増減率も見てみます。いくつか減収になっている企業も有りますけど、ほとんどの企業は増収です。で、一社 飛び抜けて居るのが SQM社ですが南米チリの企業です。なんで、こんな事になっているのかと思って記事の内容を見ると リチウムプラントを持ってるんですね~。電気自動車向けのバッテリーと言う、ものすごく旺盛な需要があるんで、こんな事になるんですね。





2022   Chemical Operating Profit


さて、次は利益ですね。売上ランキングはそのままで利益高を単純に比較すると以下のようになります。まあ、BASF は利益もデカいんですが、ランクが下でも利益はデカい企業もいくつかありますね。例えば、信越化学とかですが、Yara などの肥料メーカー勢が好調です。





更に、利益高の2021年からの増減率は以下のようになります。まあ、公表していない企業も有るんですけど(ゼロと表記)、マイナスの企業も結構有りますよね。そんな中で元気なのが 前述のとおり肥料メーカーです。利益が2倍とか3倍とかですから、まあ絶好調ですね。記事では Yara は2つのアンモニア プロジェクトについてアナウンスしたと有りますね。うち1つのプロジェクトのプラント規模は 年間 140万トンとのことでした。相当デカいですが、これくらいが普通でしょうね。で、アンモニアですが 肥料にするってのが普通ですが、燃料として使うってのも有りますよね。アンモニアを燃やしても、出てくるのは 窒素と水なので炭酸ガスは排出されませんね。ネットで調べても実証実験などはいろいろとやられてますね。




最後に利益率を見ておきます。古くからある企業では 利益率 5~10[%] くらいでしょうか。肥料メーカーも利益率は高いですね。んで、46位の ICL Group、49位の OCI はどちらも 30[%] 台となっています。両社とも 2022年になってランクインした企業です。ICL はイスラエル企業で臭素系難燃剤を製造しているとの事。で、臭素は死海から採取している!とか。うーん、地の利を活かしているんですね。と、それよりもリン酸鉄リチウムの事業が有望のようですね。何に使うのかと言うとバッテリーの正極材料との事で、やはり電気自動車向けなんですね。一方、OCI はオランダの メタノール・窒素肥料の製造企業で、今回初のランクインとの事です。低炭素メタノールとか低炭素アンモニアなどのプロジェクトに参画しており、この分野はこれから成長していくんでしょうね。


まとめ

うーん、記事に記載されている内容によればケミカルマーケットは今後も堅調に推移していくようですね。コロナ禍の影響もほぼ確実に払拭されましたし。ただ、ウクライナ侵攻などの影響で資源価格の高騰はしばらく続くでしょうから、それによってケミカル企業の業績が圧迫されなければ良いですけど。などと、ネットで拾った情報の受け売りですけど・・・。

成長分野は電気自動車向けバッテリー関連の材料とか、ブルーアンモニアとかなんですかね、やはり。日本企業や韓国企業も こんな流れに乗り遅れないように必死なんだろうと思いますね~。

で、最後にBASF、LG化学 そして 三菱ケミカル 3社の売上高と利益高 及び それらの対前年比率をグラフにしてみました。やっぱ、BASF は売上も利益もデカいですね。LG化学と三菱ケミカルは同じくらいですが、ここ数年はLG化学の方がランクが上ですね。まあ、LGは売上の100[%] がケミカル関連事業なんですが、三菱については 80[%] くらいがケミカル関連となっているので、比較すると低めになるのかなと。また、対前年比率ですが 2020年は落ち込みましたけど、2021年には大きく回復しています。ですが、2022年には再び落ち込んでますね。これは前述のように、ウクライナ侵攻などの影響なのかなと。2023年も半分終わりましたけど、ケミカル業界全体としては 2022年と同じような感じなんでしょうか・・・。

※ このグラフを作る際に過去の記事を当たってたんですが、BASFが首位を陥落して2位になった事が有るんですね。それが、2018年で 1位は DowDuPont でした。合併した直後だったので売上が急増したんですね。で、その後 再分割されたんで BASF は首位に復帰したんですね。




韓国で働いていた時には、麗水コンプレックスには LG化学の広大な敷地が有って、いろんなプラントが有りましたね。日本の機器メーカーさんが打ち合わせとかで勤め先に来る事も何回か有って、夜 一緒に飲んだりもしたんですね。で、「LG化学さんにも結構来てますよ」、とか言ってましたね。増産増産で設備投資もガンガンやってるんだな~と思いましたね。と、そんなLG化学ですが 会社設立当時の製品は練り歯磨きだったとか。そんなところから始まって、今や世界有数の化学企業なんですね。休暇の際には日本との往来で麗水空港を使うんですが、ドカーンと目立つ場所に LG화학 の看板が有ったな~と思い出しました。


参考文献

  1. "2023 July C&EN - Globaltop50-2022 .pdf"





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