今回は開渠 Open Channel の流れについて取り上げます。開水路とかも言いますね。まあ、水面を有する流路とか流れとかの事ですね。ザックリと言えば、川とか側溝とかになるんでしょうか。まあ、ケミカルプラントの配管では基本 充満状態で流れてますが、例えば斜めに設置されている配管に重力流れで液を流す場合、ここはどれくらいの液深さで流れているのかを知りたい場合もありますんで、そんな時はザックリとですが計算したりしてましたね。まあそんな訳で開渠の流れについていくつか計算してみようかなと。
開渠流れ Open Channel Flow
✔ 流れの分類 Flow Classification
開渠流れは、流れを横から見たとき下図のとおりですね。そして、断面形状や勾配が一定であれば「一様流れ」となり水深はどこでも同じとなります。一方、断面や勾配が一定で無い場合、水深や平均流速が位置によって変化する「非一様流」となります。
また、参考書籍によれば、開渠流れにおいても管内流れと同じ様に層流と乱流があります。平均液深さ m を代表長さにとってレイノルズ数を計算し、Rem が 500 以下では層流、2000 以上で乱流との事です。平均液深さですが、所謂 水力直径ですね。断面積を浸辺長さで割り算した値です。そして、円管内径基準のレイノルズ数は d=4m なので、500 × 4 = 2000 となるので 円管の臨界レイノルズ数 2300 と同じくらいなんですね。
✔ 速度分布 Velocity Profile
開渠流れの速度分布は普通の円管内流れにおけるそれとは異なりますね。水面は自由表面、つまりは滑り条件 slip condition なので速度が有ります。で、下図にあるように、最大流速は 0.1 ~ 0.4 h の水面下にあり、平均流速は 0.6 h の水面下にあるとの事ですね。なので、その平均流速となっている辺りで流速を測定し、その値に流路断面積を掛け算すれば通過流量が分かりますね。
✔ 一様流における平均流速 Mean Velocity of Uniform Flow
で、流路断面積と勾配が一定である一様流における平均流速と体積流量の計算式は以下のようになります。式①はシェージの式と言うそうで、C はシェージ係数です。んで、式③はマニングの式で、与えられた条件から平均流速が計算されます。更に、式④で体積流量が計算されます。また、流路壁面の粗さ係数n の値が必要ですが、参考書籍によれば下図に示すとおりです。材質を見る限り、土管とか用水路とかになるんでしょうか。
計算例 Examples
✔ コンクリート開水路における流量 Flow Rate in Concrete Open Channel
以下の条件で開水路に水を流す場合の流量を計算してみます。せっかくなんで、勾配と粗さ係数を変えてみます。
- 開水路 幅 1200 [mm]
- 水深 600 [mm]
下図上段グラフは勾配の影響です。勾配の値だと今ひとつピンとこないので、傾斜角も計算してあります。例えば、勾配 0.0003 だと 100 [m]先では 30[mm] 低くなっている事になります。自動車用の道路とかだと、勾配は [%] で表わしますが 最大で 12 [%] に決まってるんだとか。これは 100 [m] 先で 12 [m] 上がってるって事です。それに比較すると開水路の勾配はほぼほぼ無いですね。 で、そんな勾配でも平均流速は 1 [m/s] 程度とはなります。そして、流量は断面積を掛け算すると 結構流れますね。まあ、断面積次第なので。
下図下段グラフは粗さ係数の影響です。まあ、比較的滑らかなコンクリート流路と石ころだらけの用水路だと全然違いますよね。当然、粗度が小さいほうがより流量が大きくなります。
下図下段グラフは粗さ係数の影響です。まあ、比較的滑らかなコンクリート流路と石ころだらけの用水路だと全然違いますよね。当然、粗度が小さいほうがより流量が大きくなります。
また、使う計算式は同じですが 流量を一定としておいて、開水路の水深がどの程度になるのかを求める事も出来ます。EXCEL のソルバー機能を使えば良いですね。粗さ係数を変えていますが、粗い流路では同じ流量を流す為には水深が大きくなりますね。
✔ 長方形開水路の最適寸法 Optimal Dimensions of Rectangular Open Channel
最後に長方形 開水路における最適寸法について計算してみます。ってか、参考書籍に載ってるんですね。断面が長方形の場合、すごく平べったいとか 若しくは すごく水深が大きいってのは あまり良くは無いんですね。ズバリ、水路幅と水深との比率が 2 となるのが最適です。水路幅が 1200 [mm] であれば、水深は 600 [mm] となるのがベストとなります。この条件で流量が最大となるんですね。下図がその結果ですが、比率 2 において明確なピークが有ります。
で、計算するにあたっての前提条件は粗さと勾配は一定とします。で、流路幅もエイッと 1200[mm] とします。そして、水深を変えていくわけですが適当にやると意味が無いので、浸辺長さを一定値、ここでは 2400 [mm] に固定します。浸辺長さってのは、まあ流路を施工とか製作する際、その断面部分の長さとなりますね。で、それが流れ方向にずーっと続くって感じです。まあ専門家では無いのですけど コンクリの量とかが決定出来るのかなと、何となくですけど。とまあ浸辺長さを固定するってのは、製作費とか工賃を固定する事になります。で、その縛りの中で出来るだけ沢山の水量を流せれば ベストとなる訳ですね。この手の最適寸法ってのはこのブログでも何回と無く出てきましたけど、避けては通れませんね。何かを作って使う場合、適当に寸法とかを決めるようじゃ駄目なんですね。まあ、敢えてそれをやるってのは勿論有りますけども・・・。パイロットプラントとか小規模な実験装置だと、まあ採算度外視ですしね。
で、計算するにあたっての前提条件は粗さと勾配は一定とします。で、流路幅もエイッと 1200[mm] とします。そして、水深を変えていくわけですが適当にやると意味が無いので、浸辺長さを一定値、ここでは 2400 [mm] に固定します。浸辺長さってのは、まあ流路を施工とか製作する際、その断面部分の長さとなりますね。で、それが流れ方向にずーっと続くって感じです。まあ専門家では無いのですけど コンクリの量とかが決定出来るのかなと、何となくですけど。とまあ浸辺長さを固定するってのは、製作費とか工賃を固定する事になります。で、その縛りの中で出来るだけ沢山の水量を流せれば ベストとなる訳ですね。この手の最適寸法ってのはこのブログでも何回と無く出てきましたけど、避けては通れませんね。何かを作って使う場合、適当に寸法とかを決めるようじゃ駄目なんですね。まあ、敢えてそれをやるってのは勿論有りますけども・・・。パイロットプラントとか小規模な実験装置だと、まあ採算度外視ですしね。
まとめ Wrap-Up
今回は開渠・開水路の流れについて取り上げました。式自体はそれほど複雑でも無いですし、反復計算が必要な訳でも無いので扱いやすいですね。まあ、ケミカルプラントを取り扱っているエンジニアが 開水路そのものの仕様を決定する事も無いとは思いますけど。普通は土木屋さんがエイっとやりますね。
んでも、充満流れじゃなくて 液面が有る流れってのは 時々出くわすので、その際にどの程度の流量が流れるのかを推定しておくのは重要ですね。また、流したい流量に対して結構液面位置が高くなって、こっちのノズルからも流出しちゃうよとか。まあ、CFD の VOF法とかを使えば 液面有りの流れを計算出来ますが、チョチョイと出来る訳でも無いですし。予備的な技術検討であれば、サクッと計算して 大体こんな感じって言う感触を掴みたいですし。となると、いろいろ条件を変えてケーススタディをする訳で、出来る限り簡単に かつ数をこなしたいですね。となると、今回のような計算手法になるのかなと。他に知りませんしね。
んでも、充満流れじゃなくて 液面が有る流れってのは 時々出くわすので、その際にどの程度の流量が流れるのかを推定しておくのは重要ですね。また、流したい流量に対して結構液面位置が高くなって、こっちのノズルからも流出しちゃうよとか。まあ、CFD の VOF法とかを使えば 液面有りの流れを計算出来ますが、チョチョイと出来る訳でも無いですし。予備的な技術検討であれば、サクッと計算して 大体こんな感じって言う感触を掴みたいですし。となると、いろいろ条件を変えてケーススタディをする訳で、出来る限り簡単に かつ数をこなしたいですね。となると、今回のような計算手法になるのかなと。他に知りませんしね。
参考文献・書籍 References
- 「演習 水力学」 森北出版 1981年刊
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