今回は噴流の経路について取り上げます。噴流と言っても液体のジェットですね。ノズルからピューッと水を吐出させると噴流として空気中を飛んでいってどっかに着地しますね。その時の到達距離とか高さを計算してみます。ケミカルプラントでは 消防用 放水ノズルとかでしょうか。タンクヤードでは 要所要所に結構ゴツい放水銃が設置されてたりしますね。また、屋外消火栓とかでも 赤色の格納箱の扉を開けるとノズルと折りたたまれたホースとかがしまってありますね。ノズルは筒先とか言いますが、30年以上も前に新入社員研修で実際に筒先から放水した事がありますね。で、結構重いんですね。水が来てない時は空っぽなんで軽いんですが、水が充満すると その重量でズッシリと重くなりますね。あと、グルグル巻きにしたホースを肩に担いで走ったりしました。実際に消火するような場面には遭遇しなかったんですけども。
まあ、実務では消火栓とか放水ノズルについて検討する事は無いですね。ですが、例えば 反応器とかベッセルに液を装入する際に わざと角度を付けて狙った位置に落とすとかはやった様な気がします。スプレーから噴霧した液滴が反応器断面を偏り無くカバーするようにスプレーヘッドの配置を考えたりとかですね。
噴流の経路 計算式 Calculation Equations for Liquid Jet Trajectory
ホースを使って水撒きする様子を思い出すと、ホース先端から飛び出した水流は放物線となりますね。と言う事は、物体をエイッと射出した時と状況的には全く同じなんですね。初速と角度を与えれば、経路というか軌跡を計算する事が可能です。ただし、物体にしても水流にしても空気中を飛んで行きますが、「空気抵抗」の影響が少なからず有りますね。まあ、初速がそれほど大きくなければ 影響は大きくは無いですけど。
✔ 空気抵抗を考えない場合 not consider air resistance
初速度 v1 [m/s] 、角度 θ [rad] で噴流を射出する場合、経路上の各地点におけるx・z方向の速度は 式①・② で計算されます。で、時間 t[sec] 経過後の経路座標は 式③・④で得られます。で、最後に経路ですが 式⑤で計算されます。地表から射出したのであれば 再び地表に戻ってそこでお終いですね。で、式⑥で到達距離 L[m] が計算出来ます。そして、式⑦で 最高到達高さ zm [m] が得られます。この最高到達高さですが 到達距離 L の半分なんですね。空気抵抗が無ければ経路は対称な放物線となるからですね。
✔ 空気抵抗を考える場合 consider air resistance
で、計算式は以下のとおりですが、空気抵抗に関連するパラメータ k が含まれています。この k は初速度v1 と噴流の水力直径 m のみから決定されるようです。なので、時々刻々 噴流速度を計算したりする必要は無いので楽ちんですね。
計算例 Examples
✔ 計算条件
- ノズル口径 31.7 [mm]
- 初速 37.1 [m/sec]
- 射出角度 40 [deg.]
この条件で実際に放水実験をやっているようですが、到達距離は 71.9 [m] だったそうです。
✔ 噴流の経路 Jet Trajectory
✔ 到達距離、最大高度 Reaching Distance, Max. Height
まとめ Wrap-Up
今回は噴流の経路について計算してみましたが、初速が大きいと空気抵抗の影響が大きくなり 到達距離にも大きな差異が生じるんですね。このように噴流の経路が計算出来るのであれば、例えば 消防用 放水銃からの水流経路に応用出来るのかなと。なので、これくらい離れた場所から火災中の浮き屋根タンクに消火水を到達させるには、どれくらいの初速と角度にしたら良いのか?が計算出来るのかなと。
まあ、実際の放水を見てると 水流は空気中でバラけるんですけども。その辺りを検討している文献もありますね。実際に放水実験とかを実施してたりしますね。測定用枡をズラーッと並べておいて、そこに放水して溜まった水量を計ると放水量分布が得られますね。また、MPS法 、Moving Particle Semi-implicit Method を適用して 水流のバラけ具合をシミュレーションしたりもしてますね。また、放水ノズルについては どうしても噴流が広がってしまうので、適当な整流板を設置して水流が絞られた状態で射出されるようにしているようです。整流板の構造自体は所謂 多孔板ですが、その辺りを検討している文献も有りますね。
参考文献・書籍 References
- 「ノッズル・ゼットの水平到達距離に関する研究」
土木学会論文報告集 191号 1971年 - 「MPS法による放水及び泡放射の三次元シミュレーションモデルの構築」
安全工学 第51巻 第2号 2012年 - 「消火設備用高効率整流板の実験的研究」
可視化情報学会論文集 第31巻 第2号 2011年
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