さて、今回は 2024年版 Global Top 50 について取り上げます。毎年夏に C&EN, Chemical & Engineering News から発表される 化学系企業の売上高ランキングとなります。去年も同じ頃に取り上げましたけども、その時の概要ってのは減益になっている企業も多く、2022年と比較すると 売上高で 10.4% 減少し、利益は 44.1% 減少していると言うものでした。で、その翌年の 2024年はどうだったのか?と言うところをグラフにしてみたりしてご紹介します。
で、記事の冒頭部分には2024年全体の総括的なものがあるんですが、そこには以下のように書いてあります。売上高とか利益額は上位50社の合計となりますね。
- 売上高は 1兆1400億ドルで、2023年対比では 0.07% 減少となりほぼ横ばい
- 利益額は 37社合計で568億ドルで、2023年対比では 8.1% 増加
化学業界トップ企業で見てみると、売上高は横ばいですが収益についてはそれなりに改善されているって事になるんでしょうかね。地区別に見てみると、欧州においては操業を縮小するような動きが出ているようです。その理由としては、エネルギーやその他のコスト高が挙げられています。アジアでは再編が進んでいるとの事で、レゾナックホールディングス (昭和電工と日立化成が合併) では石化事業の分社化を計画しているとか、三菱ケミカルは医薬品事業を売却したとの記述が有ります。あまりパッとしないですね・・・。中国勢もやはり失速気味では有りますが、5年前とかに比べるとランキングする企業数は大きく増加してますよね。と、そんな中で特殊化学品関連の企業は業績が良いとも記述されています。やはり、「選択と集中」が重要なんでしょうか。当たり前と言えば当たり前ですけど。

※ アメリカ化学会 American Chemical Society
https://www.acs.org/
ケミカル&エンジニアリング ニュース Chemical & Engineering News
https://cen.acs.org/
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Chemical Sales 2024
✔ 化学品売上高 Chemical Sales 2023
まあ、やはり2024年も売上高 1位は BASF ですね。以下、2位は Sinopec 、3位は Dow となっています。アジア勢では 6位に SABIC 、7位に LG Chem がランクインしています。Top 10 入りしている企業の国籍を見ると、ドイツ、中国、アメリカ、イギリス、サウジアラビア そして韓国となりますね。Top 50 全体で見ると、日本企業は 7社がランクインしています。割合では 14% なので まあそれなりに存在感は有るって感じでしょうか。
✔ 化学品売上高 推移 Chemical Sales change from 2023
で、2023年 売上高と比較してみたのが 下図となります。2023年は 減収となっている企業が結構な割合で有りましたけど、2024年は程度の差は有りますが半数の企業で増収となっています。BASF や Dow 、それに LG Chem は減収していますね。記事によると、BASF はポートフォリオの大規模な見直しを進めているとありますね。農薬、バッテリー材料事業などを売却するとの事です。LG Chem については、電気自動車市場の成長が鈍化している事が影響しているとの事で、バッテリー材料事業の拡張計画を見直しているそうです。
増収となっている企業としては、例えば DSM - Firmeniche が有りますが 非中核事業である動物飼料事業、酵母エキス事業、魚油事業を売却したようです。また、Tongkun Holding Group も大幅に増収していますが、結果として前年の37位から大幅にランクアップしています。で、この中国企業ですが 年間 1350万トンのポリエステルフィラメントを生産している巨大企業なんですね。また、同じく Top 50 にランクインしている Xinfengming Group と共同でインドネシアに リファイナリーとエチレンクラッカーからなる巨大コンプレックスを建設予定との事です。勢いが有りますね~。
増収となっている企業としては、例えば DSM - Firmeniche が有りますが 非中核事業である動物飼料事業、酵母エキス事業、魚油事業を売却したようです。また、Tongkun Holding Group も大幅に増収していますが、結果として前年の37位から大幅にランクアップしています。で、この中国企業ですが 年間 1350万トンのポリエステルフィラメントを生産している巨大企業なんですね。また、同じく Top 50 にランクインしている Xinfengming Group と共同でインドネシアに リファイナリーとエチレンクラッカーからなる巨大コンプレックスを建設予定との事です。勢いが有りますね~。
Chemical Operating Profit 2024
✔ 化学品利益 Chemical Operating Profit
で、大事なのは利益ですよね。いくら売上高が大きくても赤字ではアレですよね。2024年の結果を見ると、さすがに BASF は利益も太いですね。Top 50 で利益額が最大なのは 今年も Linde となりました。因みに 2023年もそうでした。記事によれば、カナダのアルバータ州において 巨大プロジェクトを計画しているんだとか。ダウ社のエチレンクラッカーからの排ガスを水素に転換するオートサーマル改質設備を建設するとの事です。この案件については、ダウ社のニュースリリースでも触れられています。そして、これまた常連ですが 信越化学の利益額も太いですね。
✔ 化学品利益 推移 Chemical Operating Profit change from 2023
そして、利益が2023年と比較して増えたか減ったかを表しているのが下図となります。利益額の大きな Linde と 信越化学は 増益していますが、増益比率はそこまで大きくは無いんですね。まあ、ず~っと毎年毎年増益を続けていたので、そうそうドカ~んと大きな増益ってのは無いですよね。で、売上高 47位 の Borealis の増益比率は 記事では 5000% 以上となっています。まあ、前年の利益額がすごく小さかった反動でしょうか。そして、この Borealis ですが 更に複数の企業との合併案件が進行中で、完了後の売上高は 180億ドルとなる予想だそうです。この売上高を2024年のランキングに当てはめてみると19位となり、これは 信越化学を少し超える額となります。主力製品はポリオレフィンで、世界4位のポリオレフィンメーカーになると予想されています。こういうデカい合併話が出てくるのが、欧米ならではなんでしょうかね。
✔ 化学品利益率 Chemical Operating Profit Margin
やはり、最後には利益率を見ておきます。やはり、と言うかいつもですが Linde と 信越化学は20%を超える利益率です。売上高 33位である Air Products and Chemicals も高いですね。で、この企業ですが CEOの交代劇があったようで、3つの大規模プロジェクトが中断されたとの事です。新しい CEO はライバル企業である Linde から来た人との事ですが、やはり欧米はドラスティックですよね。あと、Nutrien も高い利益率となってますが、記事を読んでも良く分かりませんね。
まとめ Wrap - Up
去年もやりましたが、今回も BASF、LG Chem そして 三菱ケミカルの業績推移をグラフにしてみました。下図上段グラフは 売上高推移、下段グラフは利益推移となります。
う~ん、先行き不透明ですね。記事にも「失速」とか「停滞」とか書かれていて パッとしませんね。ただ、売上高の対前年比率 推移は上向いてきているようにも見えます。これは利益の対前年比率においても同じですね。ただし、LG Chem は厳しいですね。2025年に反転攻勢になるのかが注目されるところです。まあ、いろいろと手広くやっているので大丈夫だとは思いますけど。今は踊り場的な感じでしょうか。
などと言ってるうちにもう7月も終わりそうなんで、2025年も半分以上は終わってるんですね。例のトランプ関税の影響とかで化学製品関連の貿易高にも影響があるんだとは思いますけど。また、欧州ではウクライナ侵攻がまだまだ続いていますし、となるとエネルギーコストの高騰などの影響が有りますよね。
う~ん、先行き不透明ですね。記事にも「失速」とか「停滞」とか書かれていて パッとしませんね。ただ、売上高の対前年比率 推移は上向いてきているようにも見えます。これは利益の対前年比率においても同じですね。ただし、LG Chem は厳しいですね。2025年に反転攻勢になるのかが注目されるところです。まあ、いろいろと手広くやっているので大丈夫だとは思いますけど。今は踊り場的な感じでしょうか。
などと言ってるうちにもう7月も終わりそうなんで、2025年も半分以上は終わってるんですね。例のトランプ関税の影響とかで化学製品関連の貿易高にも影響があるんだとは思いますけど。また、欧州ではウクライナ侵攻がまだまだ続いていますし、となるとエネルギーコストの高騰などの影響が有りますよね。
と、全くの余談ですが 派遣先企業へは電車通勤してるんですが、電車待ちの際に貨物列車を見かけますね。一般的なコンテナがズラ~っと連結されてますが、たま~に 化学品輸送用の ISO タンクを見かけるんですね。なので、それを見た日はラッキーデーとしています。 3個とか見た日は一粒万倍日的な感じですね!! かと言って鉄オタでは無いんですね。あくまでもケミカルタンクが好きなだけで。
参考書籍・文献
- "global-top50-spending-table-2025.pdf"
web site
- https://www.acs.org/
アメリカ化学会 American Chemical Society - https://cen.acs.org/
ケミカル&エンジニアリング ニュース Chemical & Engineering News
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