今回は身のまわりの化学工学シリーズとして 「頭髪の乾燥」について取り上げます。前回は「浴槽からの放熱」について計算してみました。まあ、今回もお風呂と言うか入浴に関連する投稿になりますね。まあ、お風呂に入ると浴槽で温まったり体を洗ったりしますし、洗髪もしますね。そして、風呂上がりにはドライヤーで髪を乾かしますね。これは頭髪表面の付着水を熱風で乾燥すると言う単位操作になりますね。
まあ、若い時分はヘアドライヤーとかは持ってませんでした。もっぱら、自然乾燥でしたね。風呂上がりにバスタオルで水分を少し拭いたくらいのビショビショの状態でそのまま寝たりとかしてました。そうすると翌朝はものすご~く寝グセが付いた状態となりますね・・・。なんですが、社会人になってからはドライヤーで乾かすようにしてましたね。なんですが、韓国在住時にはドライヤーは持ってませんでした。まあ、冬場とかだとオンドルを使いますけど、すごく空気が乾いてたんですぐに乾きますね。
で、ヘアドライヤーを用いた頭髪の乾燥ですが、化学工学的に言うと熱風受熱方式とか対流伝熱方式による乾燥操作となります。頭髪表面の付着水に熱風によって熱が与えられ気化蒸発するって事ですね。言ってみると「回分式熱風乾燥」となりますし、ザックリと考えれば「材料内の温度・含水率が一定で、熱風温度が一定」条件における乾燥操作となりますね。となると、頭髪表面における熱伝達の大小が重要となってきますし、熱伝達係数がどれくらいなのか? によって乾燥時間が影響を受けますね。 とまあ、その辺りを計算してみようかなと。
※ 今回も Google Gemini に画像を作成して貰いました。だいぶ洋風なテイストになりましたね。
頭髪とは? What is hair?
頭髪ってのはその名のとおり頭に生えてる髪の毛ですよね。そもそも頭髪ってどんなものなの? については「日本毛髪科学協会」のホームページが参考になりますね。いくつかピックアップしてご紹介してみます。
✓ 頭髪の役割 Role of Hair
頭髪の役割ですがいくつか有るんですね。頭髪の太さ自体は 70 ~ 80 [μm] と細いですが、頭髪だけでも 10 ~ 12万本もあるんだとか。なので、熱や紫外線、そして衝撃などから頭部を守る効果が有るんですね。また、有害物質を体外に排出する云々ですが、体内に水銀や鉛やカドミウムなどが有ると毛髪中に含まれるようになるんですね。なので、毛髪を分析すれば人体内の水銀の有無が分かりますね。また、覚醒剤使用の有無についても分かりますね・・・。
前述のとおり頭髪は細い繊維状ですが、その断面は下図のとおりです。外側は 「毛小皮」キューティクル Cuticle で、その内側には 毛皮質 コルテックス Cortex があります。そして、芯の部分が 毛髄質 メデュラ Medulla となります。で、頭髪に関する数字には以下のようなモノが有りますね。
- 暑さや寒さから身を守る
- 直射日光や紫外線から頭部を守る
- 衝撃から頭部を守る
- 体内の老廃物や有害物質を体外に排出する
✓ 頭髪に関する数字 Numbers about Hair
前述のとおり頭髪は細い繊維状ですが、その断面は下図のとおりです。外側は 「毛小皮」キューティクル Cuticle で、その内側には 毛皮質 コルテックス Cortex があります。そして、芯の部分が 毛髄質 メデュラ Medulla となります。で、頭髪に関する数字には以下のようなモノが有りますね。
- 太さは 70 ~ 80 [μm]
- 体全体の毛髪の本数は 500万本で、頭髪は 10 ~ 12万本
- 頭髪の密度は 頭頂部で 300 本/cm2 、側頭部・後頭部は 200 本/cm2
- 頭髪は 1日に 0.4 mm 伸びる
- 日本人の頭髪の強度は 150 g で切れる。一方、頭髪は 50g の力で抜ける
- 1日の抜け毛が 100 本 であれば正常
- 頭髪の水分量は 11~13 %
それと頭髪の成分ですが、80~90 % がタンパク質でその他 水分、脂質、メラニン色素などが含まれるとの事です。で、このタンパク質ですがシスチン Cystine と言うアミノ酸を多く含みます。このシスチンですが システイン Cysteine 2分子が結合した構造となります。イオウを含んでいるんで燃やすとすごく臭いですね。
頭髪表面の熱伝達 Heat Transfer on Hair Surface
✓ 回分式熱風乾燥 Batch Hot Air Drying
頭髪の乾燥を回分熱風乾燥として考えられるとして、加えて 材料内温度・含水率一定で熱風温度・湿度が入口と出口で変化しないとします。本来は熱風温度・湿度も変化するんでしょうけど、熱風量が非常に多ければ ほぼ一定とみなしても良いのかなとなりますね。また、乾燥時間は大きく①予熱時間、②定率乾燥時間、③減率乾燥時間に分けられます。まず、①予熱時間では付着水の温度が上昇するだけで蒸発はしません。次に、②定率乾燥時間では 頭髪表面から水分の蒸発が起こりますんで、熱風温度・湿度に対応する湿球温度に維持されます。この時には乾燥速度は一定となります。そして、最後に③減率乾燥時間となりますが水分も蒸発しますけど頭髪の温度も上がりますし、蒸発速度はどんどん減少していきます。
参考書籍に記載されている回分式熱風乾燥の模式図と定率乾燥期間の熱収支式は下図のとおりとなります。式①の左辺は材料表面で水分の蒸発に使われる熱量であり、右辺は熱風から材料に流入する熱量となります。で、流入熱量ですけど熱伝達係数×表面積×温度差から求められます。表面積 A はまあ決まってますよね。また、熱風温度 TG1 は一定条件です。そして、湿っている材料の表面温度は 定率乾燥期間中は一定温度に Tmc に維持されますが、それは湿球温度となります。そして、熱伝達係数は流速や材料の形状が定まれば決まります。結果的に右辺の値が決まりますが、定率乾燥期間中は一定となりますね。つまり、水分の蒸発速度も一定となるんですね。で、式①を積分すれば 式②となりますが 、これは定率乾燥期間に要する時間となります。
✓ 頭髪表面の熱伝達係数 Heat Transfer Coefficient on Hair
頭髪なんですが その断面は円柱状ですので、円柱周りの強制対流熱伝達となります。まあ、キューティクル云々とかありますけども。で、円柱周りの平均熱伝達係数 推算式はいくつか有りますね。ただ、同じ円柱状であってもケミカルプラントの配管とかと違うのは、その太さです。1インチの配管であれば 外径は 33.4 [mm] とかになりますが頭髪だと 0.08 [mm] となりますんで、その径を比較すると 418倍も細いですね。となると、この違いはレイノルズ数の違いとなって効いてきます。参考書籍とか文献とかを当たってみると、いくつか熱伝達係数 推算式が有ります。
計算例 Examples
✓ 計算条件 Conditions
早速計算してみますが、ヘアドライヤーで熱風を頭髪にブワ~っと吹き付けて乾かす状況を想定してみます。ドライヤーから吹き出す温風の風速・温度条件とかをネットで調べてみると以下のような値でした。まあ、モードでも違うと思いますね。例えば、温風モードとか冷風モードとか、温風⇔冷風モードとか。また、風速については 距離が近いほど大きいですし、離すと小さくなりますね。
- 風速 ~ 10 [m/sec] 吹出し口から 5[cm]
- 温度 38 ~ 70 [℃] 吹出し口から 3[cm]
✓ 風速の影響 Effect of Hot Air Velocity
熱風温度を 60[℃] として風速を変えて計算してみると下図のような結果となりました。Re - Nu の関係を見ると Douglas - Churchill 式と Colis - Williams 式はほぼ同じような結果となっています。Sano - Nishikawa 式 はだいぶ低めになりました。そして、熱伝達係数ですが 風速 10 [m/s] だと 1000 [W/m2 ] 程度は可能なんですね。
✓ 外径の影響 Effect of Diameter
で、次に風速を一定にして外径を変えて計算してみると下図のようになります。見て分かるように太くなると熱伝達係数値は大きく低下しますね。デカいと言うか太い円柱となると下流側で流れが剥離したりして流れ場が影響を受けるんですね。と言う事は、細い頭髪を乾かすって事は熱伝達的には非常に有利なんですね。
大きさを比較してみると下図のようになります。1 inch 及び 1/8 inch SUS Pipe と頭髪についてその断面を描いています。頭髪については 外径 0.08 [mm] で描いては有りますけど、小さくて良く分かりませんね。まあ、そんだけ細いって事になります。
✓ 頭髪の乾燥時間 Hair Drying Time
頭髪表面の熱伝達係数値が計算出来たので、前述の式②を使って乾燥時間を計算してみようとしましたが、結論から言うとうまく行きませんでした・・・。そもそも、頭髪の含水率ってのが分かりませんよね。頭髪そのものの含水率は前述のとおり 10 [%] くらいなんですが、風呂上がりの髪はビショビショですよね。これは、頭髪1本の表面に存在する表面水とか頭髪間の間隙に保持されている付着水によるものなんかな~と。で、実際にヘアドライヤーで乾燥させてみると、まあ 数分間程度で水分が無くなるって感じですよね。
ここら辺については文献も調べてみたりしましたが、実験データが記載されているような文献は見つけられませんでしたね。まあ、実験するのも大変だとは思いますけど 需要は無いのかなと。ヘアドライヤーもいろいろなメーカーさんが作って販売してますけど、どれくらいの性能なのか? ってのを検証したりはしないのかな~と思います。やってはいるんでしょうけど、文献と言う形では発表されていないだけなのかなと思います。
因みに AI によると 濡れた髪の乾燥時間は ショートヘアで 3~5分、ロングヘアで 7 ~ 10分くらいとの事ですね。まあ、そんな感じでしょうか。
ここら辺については文献も調べてみたりしましたが、実験データが記載されているような文献は見つけられませんでしたね。まあ、実験するのも大変だとは思いますけど 需要は無いのかなと。ヘアドライヤーもいろいろなメーカーさんが作って販売してますけど、どれくらいの性能なのか? ってのを検証したりはしないのかな~と思います。やってはいるんでしょうけど、文献と言う形では発表されていないだけなのかなと思います。
因みに AI によると 濡れた髪の乾燥時間は ショートヘアで 3~5分、ロングヘアで 7 ~ 10分くらいとの事ですね。まあ、そんな感じでしょうか。
まとめ Wrap-Up
今回は身のまわりの化学工学シリーズとして、頭髪の乾燥について取り上げてみました。と言っても、毛1本の表面における熱伝達係数を計算してみただけなんですけども。まあ、頭髪はすごく細いんですけど 同じような細い物体周りの熱伝達と言うと、例えば 合成繊維製造行程における溶融紡糸とか原糸の加熱・冷却などにおいて起こり得ますね。また、熱線風速計においては 細い熱線が使われますが、その太さは 25 [μm] と頭髪よりも更に細いですね。
今回ネットでヘアドライヤーについて調べてみましたけど、それこそいろいろなメーカーさんが出してますね。ランキングなんかも沢山有りましたけど、これだ!って言う決め手は有るような無いような。まあ、出来るだけ早く髪が乾いて ダメージも少なくて、なおかつ電気代も少ないってのが良いんだと思いますけど。それ以外にもヘアケア効果だとかマイナスイオンだとかプラスアルファ的な機能も有ったりしますね。お値段も安価なものだと 5000円くらいから有りますし、高価なものだと2万円以上のものも有りますね。理髪店とかにあるようなプロ仕様のものは高価なのかな~と思いますけど。
今回ネットでヘアドライヤーについて調べてみましたけど、それこそいろいろなメーカーさんが出してますね。ランキングなんかも沢山有りましたけど、これだ!って言う決め手は有るような無いような。まあ、出来るだけ早く髪が乾いて ダメージも少なくて、なおかつ電気代も少ないってのが良いんだと思いますけど。それ以外にもヘアケア効果だとかマイナスイオンだとかプラスアルファ的な機能も有ったりしますね。お値段も安価なものだと 5000円くらいから有りますし、高価なものだと2万円以上のものも有りますね。理髪店とかにあるようなプロ仕様のものは高価なのかな~と思いますけど。
それと、髪を乾かす際の手順と言うかやり方ってのはそれこそネットに溢れてますね。曰く、まずはタオルドライをしっかりとやって強温風で根元から乾かしはじめ、8割ほど乾いた時点で弱温風とかに切り替えてスタイリングするんだそうです。そして、最後に冷風で仕上げるんだとか。まあ、普段はそんな事は考えずにが~っと乾かしてますけども・・・。
最後に「おっ、これは面白いな~」と言うのをご紹介しておきます。その名も、吸引式ヘアドライヤーです。下図を見ると一目瞭然ですが、螺旋状の流路に熱風を流すんですが 外気を吸引しています。で、その流路に頭髪を吸い込ませます。すると、頭髪表面をそれなりの速度で温風が移流していきますんで当然 熱伝達が起こり、その熱によって頭髪表面の水分が気化蒸発するって仕組みです。この方法だと頭髪にのみ熱が伝わりますし、だいぶ効率が良いんじゃないかな~と思いますね。ただ、髪の毛が長い人にしか使えないのかなと。最近はだいぶ御髪が寂しい感じなので、私には向きませんね・・・。
最後に「おっ、これは面白いな~」と言うのをご紹介しておきます。その名も、吸引式ヘアドライヤーです。下図を見ると一目瞭然ですが、螺旋状の流路に熱風を流すんですが 外気を吸引しています。で、その流路に頭髪を吸い込ませます。すると、頭髪表面をそれなりの速度で温風が移流していきますんで当然 熱伝達が起こり、その熱によって頭髪表面の水分が気化蒸発するって仕組みです。この方法だと頭髪にのみ熱が伝わりますし、だいぶ効率が良いんじゃないかな~と思いますね。ただ、髪の毛が長い人にしか使えないのかなと。最近はだいぶ御髪が寂しい感じなので、私には向きませんね・・・。
参考書籍・文献 References
- 「空気流と細線との間の伝熱係数」
化学工学 第28巻 第4号 1964 - 「伝熱概論」 養賢堂 1964年刊
- 「初歩から学ぶ乾燥技術」 工業調査会 2005年刊
- 「毛髪にかかる負担を軽減するための吸引式ヘアドライヤーの開発」
科学・技術研究 第2巻 第1号 2013年
web site
- 日本毛髪科学協会 ホームページ 「健康な毛髪と頭皮を守るために」
https://www.jhsa.jp/hair-skin-knowledge/








コメント
コメントを投稿