化工計算ツール No.165 物性 - 密度 Physical Property - Density

 今回は物性の1つである 「密度」 Density について取り上げます。単位体積当たりの質量となりますね。単位としては SI単位系では [kg/m3] となりますが慣用的には例えば [g/cc] なども使われますね。密度に類するものとして、単位体積当たりの重量 Specific Weight が有りますが、これは単位体積に働く重力による力となります。SI単位系では [N/m3] となります。そして、比体積 Specific Volume ってのも有って、これは単位質量当たりの体積で 密度の逆数となります。そしてそして、比重 Specific Gravity ってのも有って 101.325 kPa 、3.98 ℃ における水の密度 ρw に対する流体の密度 ρ との比となります。と、この辺りを整理するとこんな感じでしょうか。



この密度ですが、これまでにこのブログで取り上げた物性である 「比熱」、「粘度」、「熱伝導率」 と同じくらいに重要ですよね。例えば、プラントル数には密度は含まれませんけど、レイノルズ数 Reynolds Number には 密度は含まれます。レイノルズ数以外にも 例えば グラスホフ数 Grashof Number にも含まれますけど、考えてみると慣性力が関係する無次元数には大抵 密度が含まれているかなと。なので、流体工学や伝熱工学における現象を取り扱う場合、密度値がどれくらいなのかを知る事は必須となりますね。

実務においても密度値ってのは重要でしたね。勿論、レイノルズ数とかグラスホフ数の算出にも用いますけど、もっと地味な面においても。例えば、ベッセルとかタンクに ある重量の液を装入した場合、その液面はどこに有るのか? を知るには 密度値が必要となりますね。逆に、反応器の液面位置がこれくらいであれば、内容液の重量はどれくらいなのか? を求めるには、やはり密度値が必要となります。

とまあ、そんな感じで重要な物性である密度ですが、いろいろな物質の密度について見てみようかなと。


様々な気体と液体の密度  Densities of Various Gases and Liquids


まずは参考書籍に記載されている様々な気体と液体の密度について グラフにしてみます。液体についてですが、大抵は 温度 20℃ における密度値ですが 常温で気体の物質については 低温下で液化した際の密度値となります。見てみると 水銀 Mercury がずば抜けて大きいですが、それ以外の物質については 4 ~ 1 g/cm3 ってところでしょうか。また、気体については 0℃、1atm における密度値となります。で、単位は [g/L] となっていますが、これは [kg/m3] と同じですよね。気体については ずば抜けて大きな密度値ってのは無いようですが、臭素とか塩素などが大きい密度値を有しています。

それと、気体空気の密度は 1.29 g/L ですが これよりも大きな密度値を有する気体は 負の浮力が働きますので 沈みますし、一方 小さな密度値を有する気体では正の浮力が働くので浮かびます。 家庭ではガス燃料としてプロパンガスとか都市ガスを使いますけども密度が違います。都市ガスの主成分は メタンですが 密度値は 0.7167 g/L とあります。一方のプロパンガスは 2.02 g/L です。なので、あまり考えたくは無いですがガス漏れが発生した際には 都市ガスは天井近くに滞留しますし、プロパンガスは床近くに滞留します。なので、ガス漏れ警報機の設置場所は プロパンガスであれば低い位置となり、都市ガスでは高い位置となりますね。適当に決まっている訳ではないんですね~。




この気体密度ですが 割と簡単に計算出来ますよね、分子量さえ分かれば。勿論、実測値が有ればそれに越したことは無いんですけども。で、計算して 参考書籍の密度値と比較したのが下図となります。まあ、結構合ってますよね。いくつか 外れているものも有りますけど、見てみると塩素を含んだ物質です。計算式は式①となりますが、気体の状態方程式を変形したものとなります。この計算式ですが、単一成分の気体だけでは無く、混合気体についても適用出来ますね。その際には、分子量として組成を考慮した平均分子量を使用すれば OK です。勿論、適用の限界も有るんだとは思います。すご~く高温とかすご~く低温ではズレてくるんだと思いますけど。




密度の温度依存性  Temperature Dependence of Density


✓ 気体密度の温度依存性  Temp. Dependence of Gas Density

参考書籍には定圧下における気体密度の温度依存性についてのデータが記載されています。で、このデータを両対数グラフにプロットすると下図のようになります。見て分かるように温度が上がると密度は低下しますし、両対数グラフではほぼ直線になるんですね。で、ここに 前述の式①で計算した結果を併せて示しています。見てみると 両者はほぼほぼ合致しています。なので、それなりに使えるのかな~と思います。まあ、1000 K とかの高温度域については取り扱った事は無いんですけども。



せっかくなので、今度は圧力を高くした場合の気体密度について計算してみます。以下のとおりです。二酸化炭素だと数 MPa を過ぎた辺りからズレが出てきて、10 MPa を過ぎるとズレが目立ちます。また、アンモニアだと 10 MPa においてズレが大きくなってますが、ここからもう少し圧力を高くすると液化します。因みに、アンモニアの臨界温度は 132.4 ℃ で、臨界圧力は 11.3 MPa となります。また、メタンですが 結構高い圧力まで計算値と一致しています。




✓ 液体密度の温度依存性  Temp. Dependence of Liquid Density 


次に液体密度ですが、気体密度のように簡単に計算したりするのは出来ませんね、残念ながら。まあ、推算する方法ってのも有りますけども。なので、実測値と言うかファクトデータを使ってフィッティングした相関式ってのを使うのが一般的かなと思います。なので、ここでも相関式を使って 液体密度の温度依存性を計算してみます。

で、その結果が下図となりますが 温度が上がると液密度は低下します。温度が低い領域では 密度は直線的に低下しますが、その後 低下度合いが大きくなります。これは水の密度変化を見ると分かります。なんで、こうなるかと言うとその物質の臨界温度に近づいている為です。水の臨界温度は 647.1 K なので 約 374 ℃ となります。んで、その時の臨界密度は 322 kg/m3 となりますね。

まあ、網羅的に様々な物質の液密度の温度依存性を計算してみた訳では無いんですけども、結構バラバラなんだな~とは思います。四塩化炭素ってのは重いんですね。なんですが、化学ラボとかではも~っと重い物質ってのは有りますよね。例えば、硝酸とか硫酸とか。で、参考書籍にはそちらのデータも有ったのでプロットしてみると 確かに重いですね。派遣先のラボでも たま~に硫酸水溶液を調製する事も有りますけども、試薬瓶を持つとズシッと手応えが有りますね。



まとめ   Wrap-Up


今回は物性の1つである密度値について取り上げてみました。ケミカルプラントの設計においても運転においても 気体密度とか液密度ってのは頻繁に使いますよね。冒頭でも触れたように 例えば 液タンクが有って、張り込み体積がこれくらいであれば 重量ではこれくらいですってのは 密度値が分かってないと計算出来ません。しかも、液が混合物であれば 混合液の密度って事になりますね。とは言っても、加成性と言うか加成則が成立として 重量比率を用いて平均密度を求めれば良いですね。実務でもず~っとそんな感じでやってたんですが、特に問題は有りませんでした。勿論、水 - エタノール系のように加成性が成り立たない系も有りますけど。水 - 硫酸系でもそうみたいですけども。

んで、この密度ですが推算法ってのも参考書籍には記載されていて、まあそれはそれで面白そうです。結構使える計算式ってのも有るようですし。なんですが、よほど新規な物質を取り扱うのでなければ、物性データベースに収蔵されている実測値とか それらの相関式を用いるのが普通かな~と。やはり実測値の方が信頼性が有りますしね。相関式の形になっていれば それを使えば良いですし、データ点しか無いのであれば 多項式近似でもすれば良いですね。多項式近似でピンと来ないのであれば、何か適当な相関式を探してきて 定数値のみを EXCEL のソルバー機能でエイッと決定するってのも可能です。

振り返ってみると どうしても物性推算しなければならない状況になったのは 数えるほどしか無いですね。例えば、リンとか塩素とかが絡むようなそれなりに特殊な物質でしたけども。もう 20年近く前の事なので、今だったら実測値ってのも有るのかなと。まあ、韓国で仕事をしていた時分なんですけど ネットで検索ってのも出来ましたけども、今みたいに ちょいと検索すると あっという間に AI が回答してくれるって状況では有りませんでしたしね~。そう考えると便利な時代になったな~とは思います。

参考書籍・文献   References


  1. 「物性推算法」 大江 修造 著 データブック出版社 2002年刊 
  2. 「伝熱工学資料 改訂第4版」 丸善 1986年刊
  3.   "Perry's Chemical Engineers' Handbook 7th edition"  1997 


















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