今回は 久しぶりに物性がらみの投稿として、熱伝導率 Thermal Conductivity を取り上げてみます。このブログでも物性のひとつである 比熱 Specific Heat について取り上げていますね。ケミカルエンジニアリング分野では、プロセスの熱収支を計算する上で比熱は絶対に必要な物性です。一方、同じ熱物性である 熱伝導率は熱交換器などのプロセス機器を設計や仕様決定において必要となる感じでしょうか。熱交換器と言えば、熱伝達係数を推算しますけども 推算式にはプラントル数とかヌッセルト数などの無次元数を含みます。そして、プラントル数の定義は Pr = (比熱 Cp)×(粘度 μ) / ( 熱伝導率 k ) であり、熱伝導率を含みます。また、ヌッセルト数の定義は Nu = (熱伝達係数 h) × (代表寸法 L) / ( 熱伝導率 k ) であり、やはり熱伝導率を含みます。 実務でも熱伝導率の値は頻繁に使ってましたね。その際に重要なのは 温度依存性が明らかになっていると言う事でした。溶液重合のポリマープラントで言えば、0 [℃] くらいから 300 [℃] までの熱物性が必要となりますね。原料タンクは常温ですし、溶液重合の反応器は 100 ~ 150 [℃] で運転されます。脱モノマー装置では更に高い 150 ~ 200 [℃] で運転されます。そして、これまた重要なのは熱媒体油でしょうか。プラントをコールド状態からスタートアップするのであれば 真冬の熱媒温度 0 [℃] ぐらいから 熱媒ボイラー出口温度 300 [℃] までの広い範囲の温度依存性が必要となります。まあ、大抵の場合 メーカーから熱物性値が温度依存性 込みで提供されますよね。最近であれば ネットでダウンロード出来たりするんでしょうか。 その昔、勤務していた企業では熱媒体油を取り扱っていたんですね。で、熱物性値などが記載されている小冊子を顧客サービス的な感じで配布してたんですね。たまに、外部の装置メーカーに試験の立ち会いとかで行くと、「今度の試験の時で良いんでその冊子を頂けませんか? 」的な依頼が有ったりしましたね。と、そんな事を思い出しました。それくらい熱物性の入手ってのは大変だったな~って事ですね。とまあ、そんな感じでいろいろな物質の熱伝導率を比較...
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